審査員総評

大谷健太郎
大谷健太郎

パワーとエネルギー

ショートフィルムを作る大変さというのは、実は長編映画を作るのと同じくらいのパワーとエネルギーが必要だということです。一本の映画を作り、それを一人でも多くの観客に観てもらう大変さは、映画の長さに関係なく同じです。

そこで、審査自由項目を“パワーとエネルギー”にしました。ショートフィルムといえども作品から感じたいのは、映画の強さです。作り手の思いや情熱が強いほど、映画は強い表現力を獲得して大きく成長します。

とにかく、全作品を鑑賞して、本当に面白かった。“パワーとエネルギー”を感じる作品も数多くあり、退屈することはありませんでした。世界中の作品を観て、ちょっとした世界一周の旅をした気分になりました。

今回、審査をさせて頂いて、ショートフィルムの醍醐味を堪能しつつ、優れた才能の発掘に立ち合わせてもらえる事を大変うれしく思います。本当に優れた作品が多くありました。映画の未来は明るいと信じます。これで安心して、私は自分の映画に打ち込みます!

紫舟
紫舟

全ての映画を観終えた後、アジアや日本映画とそれ以外の国の「チガイ」を強く感じた。

「アジア(アジア・日本映画)」が伝えたい10行を全て語るのに対し、 「インターナショナル(アジア以外の国の映画)」はその10行を1行にし 残りの9行は、例えば曲の選択・そこに置かれた小物・シーンの長さ・撮り方でみせる。 登場するひとつひとつに必然性があり意味を持たせているのだ。

それは、「芸術」と「文化」のチガイなのかもしれない。 インターナショナル映画=芸術、アジア映画=文化。

芸術と文化のチガイを

1,まずどこから生まれたかをみると、 芸術=人から、文化=生活の中から生まれている。 芸術は個人の奥深くから生み出されるのに対し、 文化は生活をよくしたい楽しみたいところから生まれている。

2,それぞれを人にすると、 芸術=芸術家、文化=職人といえる。

3,つくり出す過程は、 芸術=人から生まれるため悩み苦しみ時として破滅的だったりもする。 文化=生活の中から職人がつくりだすものなので、出来ない場合は アイデアと工夫で乗り切る、創意工夫である。

アジアの映画にどことなくドラマっぽさを感じたのはそのためだと思う。 ドラマは文化だからだ。しかし、短編映画は映画である。

インターナショナルは芸術の国であり、アジアは文化の国。 文化の延長には美術がある。それは独特の特有の美意識。 先のカンヌでの河瀬直美監督の美意識は世界を圧巻した。 今回も、それぞれの国の伝統文化や美意識の中で育まれた感覚を 胸をはって取り込んだものにこそ、アジア映画の素晴らしさ、強さ、そして 何より映画の新しさを感じた。

寺島しのぶ
寺島しのぶ

アジアに関しては、様々なクオリティーの作品があって面白かった。イラン映画はどれも面白いと思った。

日本のアニメーションのクオリティーの高さは、外国に負けないものをもっていると思った。また、イランのアニメもとてもテーマがあり好きだった。

インターナショナルに関してはとにかくレベルが違う。各国の色があり、短い時間の中に無駄が無くメッセージ性もある。

インターナショナルは大変に楽しんでみました。アメリカは娯楽、ブラジルはMTVっぽく、フレンチは男と女。でも今回見てノルウェーの映画、そしてドイツの映画も観てとても面白いと思った。

ロビン・マリック
ロビン・マリック

今年の作品は、その作品のスタイル面においても、技術面においても素晴らしく、またジャンル性にも圧倒されました。

今回観た作品の中には、政治的、社会的、または異文化的要素を上手く織り交ぜ、そこから生まれる独特のストーリーに、非常に強いメッセージ性を感じるものもありました。

ユ・ジテ
ユ・ジテ

私にとって、映画作りで何より大切にしているのは、「真心」―作品にどんな真摯な 想いが込められているかです。SSFF & ASIA 2007では、 そうした強いメッセージ が伝わってくる、丁寧に作られた優れた作品が、数多くノミネートされていました。 そんななかでも特に際立っていたのは、国境を越えて普遍的に人の心をゆさぶるよう な力を持った作品、そして思わず微笑んでしまうような温もりで描かれた作品でし た。